聖杯

 

ある所に、王になる前の王子が居た。

 

王子はある日、肝試しの為,森の中を一人で過ごした。

冷たい土の上で寝ていると、夢枕の上に妖精が降り立ち、

神の慈悲の象徴である聖杯が炎の中から現れた。  

 

そして声が・・・

 

 

(人の傷を癒す聖杯をお前に託す)

 

 

だが王が抱いていた夢は 権力と栄光の夢

その一瞬、少年でなく神に近い不死身の人間になった・・

・・気がして、

 

炎の中に手を伸ばすと聖杯は掻き消えて、

手に酷い焼けどを受けた。

 

 

成長するにつれ 傷は悪化して、自分は何故生きているのか、解らなくなって、

人も自分も信じれず、愛し愛されることもなかった。

苦しみに絶望し、死の床についた。

ある日気のいいうつけ者が城に迷い込み、

相手が王とは知らず、苦しんでる男に声をかけた。

 

 

「一体どうなさった。」 王は答えた。 「水をくれ、喉が焼けるようだ。」

男は側にあった杯に水を満たし、差し出した。

水を口にすると王は痛みが和らぐのを感じた。

見るとそれは長年王が求めていた聖杯だった。

 

王は男に尋ねた「なぜおまえがこれを・・・。」

 

男は答えた「俺はただ・・・・。」
  

 

 

「あんたに水を・・・・・・・。」

 

 

 

 

 

・・・・おしまい・・・・・

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